当番世話人挨拶

第18回 日本婦人科がん会議

当番世話人 吉田好雄

(福井大学医学部器官制御医学講座 産科婦人科分野 教授)

第18回婦人科がん会議を担当させていただきます福井大学の吉田好雄です。福井県でこのような権威ある会議を開催させていただくことを大変誇りに感じており、医局員とともに実りある会にしたいと思っております。代表世話人の杉山徹先生、JGOG理事長の榎本隆之先生をはじめ関係各位に心より御礼申し上げます。

臨床疫学では、治療効果や診断結果などが知りたい情報となるために、目的とする評価項目が多彩になります。最近ではQOLをエンドポイントの指標にする場合も増えてきています。主観的な指標は Patient Reported Outcome(PRO:患者報告アウトカム)と総称されています。主観的指標という特性を考慮した信頼性と妥当性を担保できる適切な方法によって測定することが重要で、本邦ではなかなかなじみの薄い分野です。最近のGCIGで発表される臨床試験はPROを重要視する傾向にありますが、本邦ではまだ十分に認識されていません。

鈴木直先生(聖マリアンナ医科大学)の座長で、岩谷 胤生先生(国立がん研究センター東病院)、杉本研先生(川崎医科大学)に「臨床医学の決断」を総論的に、吉田陽一郎先生(福岡大学)、井上大輔先生(福井大学)に「高齢者がん医療の進歩」を、森重健一郎先生(岐阜大学)の座長で、佐藤美紀子先生(日本大学)、酒井瞳先生(昭和大学)に、「AYA世代がん医療の課題と未来」を各論的に議論していただこうと思っております。

腹腔内温熱化学療法(Hyperthermic Intraoperative Intraperitoneal Chemotherapy;HIPEC)は、腹腔内を加温した状態で抗癌剤を直接投与する治療法で、当院では、1989年から卵巣癌の腹膜播種病変に対しHIPECを応用してきましたが、本邦ではあまり実施されていません。2018年1月オランダvan Driel WJらによって新たな多施設第3相ランダム化比較試験の結果、有意に生命予後を改善することがNEJMに報告されました。

牛嶋公生先生(久留米大学)の座長で、津吉秀昭先生(福井大学)に序論をお願いし、Willemien J. van Driel先生(The Netherlands Cancer Institute, Amsterdam)と、Lim, Myong Cheol先生(National Cancer Center, Korea)にHIPECについての講演をお願いしました。共催セミナー・教育セミナーとして、最近の主なトピックスを本邦の第一人者の先生方にご講演をいただき、多くの先生方に興味を持っていただけるようなプログラムを組む予定です。

今回の開催は 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大予防と皆様の安全を考慮いたしましてハイブリッド開催とさせていただきます。また、会場入場も制限させていただく予定です。何卒ご理解を賜りますようにお願い申し上げます。

ハイブリッド開催とはなりますが、今後の本邦での臨床研究の方向性が見える実り多い会となり、皆様のお役に立てれば幸いです。数多くの先生方のご参加を心よりお待ち申し上げております。